2023.07.04

オンプレ回帰の広まり

オンプレ回帰の広まり

急激な円安に伴い、$ベースで課金されるAWSやAzureなどいわゆる「外資系パブリッククラウド」は、費用が軒並み値上げされ、その結果「オンプレ回帰」という言葉が巷に広まっています。
オンプレ回帰とは、いったんパブリッククラウド環境で構築した自社のインフラ環境をオンプレミス(自社運用)環境に戻すことです。
このオンプレ回帰という言葉は今回の円安に限った話ではなく、本来パブリッククラウドを使っていろいろ見えてきた結果、オンプレの方が自社の運用にふさわしいという結論に至り、オンプレに戻すことを言います。

オンプレ回帰の3つの理由

オンプレ回帰に至る理由としては以下の3つが挙げられます。

①セキュリティ

近年のパブリッククラウドの情報漏洩や、外部からの攻撃によるサービス停止などの事件から、クラウドのセキュリティを信用できない

②コスト

今回の円安に限らず、オンプレに比べてランニングコストがかさむことを経営者が許容できない

③パフォーマンス

大量データや大規模ユーザを想定した場合に、細かいチューニングができず最適なパフォーマンスが得られない
DropboxやひかりTVがオンプレ回帰の事例としてよくでています。
Dropboxはオンプレ回帰の結果2年間で80億円ものコストダウンに成功しています。

中小企業では人員構成も考慮

ここで日本の中小企業の経営者に申し上げたいのは、この円安でクラウド利用料が高くなっているからといって、このような事例をもとに安易にオンプレ回帰やクラウド検討不可を決定してはならないということです。

これらの事例に出てくる企業のIT投資額は一般中小企業のレベルをはるかに超えており、そのIT資産を管理する人員も潤沢に用意されています。
オンプレ回帰の理由になる上記3つの要件を「パブリッククラウド以上のレベルで」構築・運用する体制が整っているからこそオンプレ回帰ができるのです。

残念ながら日本の中小企業のほとんどは社内ITインフラを管理できるスタッフが不足しています。
オンプレ回帰した結果、スタッフの負担が増え、残業代や増員など人件費が増えたのでは意味がありません。
絶えず最適なインフラ構成を検討するという意味でオンプレ回帰を構築するのはよいのですが、こういった人員構成も含めて検討すべきです。

最後に

最近では自社で物理サーバを購入してサーバルームに設置することだけではなく、
プライベートクラウドやレンタルサーバー、VPC(Virtual Private Cloud)など、厳密にはオンプレと言えないものまで含めてプラットフォーム構成を選択できるようになってきました。
自社の人員構成と費用のバランスをみてインフラの構成をご検討ください。

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