2024年9月13日、新リース会計基準が公表されました。2027年度よりこの新しい会計基準の適用が義務付けられることとなりました。
リース会計基準とは
リース会計基準とは、企業のリース(企業が選択した商品・機械設備などをリース会社が購入し、中長期にわたり企業に賃貸すること)取引に関する会計基準のことです。
このリース会計基準が改正され、新基準は2027年4月以降に開始する事業年度より強制適用となりました。この改正により企業へ大きな影響が出るものと考えられます。
新リース会計基準の概要
2023年5月に、企業会計基準委員会(ASBJ)が新リース会計基準の草案を公開しました。そこから1年以上にわたり議論され、ついに2027年4月以降の会計期から強制適用となることが決定しました。
現在の日本の会計基準では、リース取引は購入に近い「ファイナンスリース」と、賃貸借である「オペレーティングリース」に大別され、「ファイナンスリース」はリース資産としてバランスシートに計上しますが、「オペレーティングリース」はリース料を計上するだけでバランスシートには載りません。
新リース会計基準ではこの区別がなくなり、リースに該当するかどうかを判定し、該当する場合、短期リースや少額リースであればオフバランス、それ以外はオンバランス処理します。
日本基準にあった、300万円以下の重要性判定ラインが無くなることにより、これまで費用処理していた自動車や、また、ファイナンスリース、オペレーティングリースという分類が無くなり、今までオペレーティングリースだった事務所の賃料などもオンバランスになると見込まれていました。
ただ今回、企業負担軽減の観点から草案が一部修正され、300万円以下の少額リースについては貸借対照表(BS)計上不要とし、リース期間についても契約期間で判断できる事とされました。
例えば、「契約期間2年、家賃10万円」の賃貸契約の場合、2年間をリース期間とし計240万円になるので、オンバランスの必要は無くなります。
変更に備えて今やるべきこと
リース資産については、購入した資産と同じように、減価償却費を計上してリース資産の台帳管理をします。
リース件数が数件ならエクセルでの管理も可能な範囲かもしれませんが、数十件、数百件となると、その煩雑さは膨大になりオンバランス化となることで事務処理も大きな負担となることが容易に想像できますね。
工場や店舗、倉庫や車両などの管理部署がそれぞれ異なっていることが多く、会計基準変更とはいえ経理部だけの問題ではないことは明らかです。
変更に備えて今からできることは、自社のリース契約の現況を把握し、新リース会計基準の対象になる契約がどれだけあるのか、情報を集約することです。
自社の取引の中で、リース対象となり得る契約を洗い出すことに早急に取り掛かりましょう。
リース契約といった取引名称でなくても、「実質リース」や「隠れリース」といったものを掘り起こし、一覧にしましょう。
そして今後の取引における契約方針を見直す事も必要になってくるかもしれません。
グループ子会社を抱える企業は各個社も適用する必要がありますので、単体・連結財務諸表への影響をシミュレーションしましょう。
システム面においては、現システムへの改修か、新システムへのリプレースかといった検討・実施対応に必要となる資金算出と予算取り、各方面への調整……とやる事を考えると、2 年半は決して長くありません。
まとめ
近年のグローバル化で、会計分野でも徐々に世界的に統一する方向に進んできています。グローバルスタンダードとされるIFRS(国際会計基準)は、海外進出を予定されている企業や、海外展開されている企業にとっては、大変気になる点だと思います。
今回のリース会計基準の改正を含め、日本でも徐々に会計基準の改正が進んできました。
管理部署が異なったり、リースと名前がついていなくてもリース対象となる契約があったりと、基準適用までに情報を集め、一覧にしておくことも重要です。
利用システムもアップデートが必要となりますので、システムについての検討も必要です。
3月決算の企業は適用開始まで2年半。
直前になって混乱しないよう早めに動き出す必要があります。
弊社もPlaza-i固定資産管理において、IFRS16号含むリース会計に対応していますが、新リース会計基準に向け開発を進め準備していきます。
システムの導入そのものやリプレースに不安のある方も、お気軽にご相談ください。
参考:企業会計基準第34号 「リースに関する会計基準」等の公表 (企業会計基準委員会)