自社在庫を倉庫や物流拠点(以下、倉庫と表記)に保管し、倉庫側は Plaza-i とは別の WMS などの倉庫システムを使って業務されているお客様がいらっしゃいます。
その場合、Plaza-i の基幹業務と倉庫の入荷/出荷業務は切っても切り離せない関係にあると言えます。
そこで今回はPlaza-i 倉庫連携の運用事例について、ポイントを解説します。
倉庫業務毎のデータ連携
代表的な倉庫業務である入庫・出庫について考察を深めるとともに、連携ポイントを拡充しご紹介いたします。
以降でご説明するどの連携ポイントについても、基本的にPlaza-i ジョブスケジュール機能を用いて、送受信し忘れデータが発生しない運用設計にします。
その上で、緊急で送受信したい場合は、ジョブスケジュール即時実行機能で対応します。
また、基幹側 Plaza-i から倉庫システムへ指図データを送信し、倉庫システムは指図データを受けて実績データをPlaza-i へ送信。
Plaza-i は実績データを取込み、一つの取引における倉庫とのデータ送受信連携を完了する構図から(例外はありますが)連携データテーブルは Plaza-i 入出庫伝票を軸に構築します。
このとき、倉庫連携の核となる入庫・出庫については、入出庫伝票番号を連携するデータレイアウトの主キーに設定することができます。
受注タイプマスター及び発注タイプマスターで持つ出庫予定生成単位区分/入庫予定生成単位区分を利用します。その他の移動指図等は入出庫伝票番号と入出庫明細行番号の 2 項目セットで主キーにします。
入庫予定及び入庫実績
入荷業務については、本社側から主体的に指図し倉庫業務が動くというよりは仕入先が起点となるため、常に更新し続ける発注残としての入庫予定を倉庫システムに毎日連携しておき、実際に商品が入庫されてくる時に備えておく方法が考えられます。
このとき Plaza-i 設定は、通常は送信成功したかどうかのステータスを記録することができる入出庫伝票ログテーブルをデータ交換定義の転送元に設定する訳ですが、上記の通り一つの入庫予定(入出庫伝票)も、発注残でいる間は毎日送信し続けるため、転送元に入出庫伝票実テーブルをセットします。
従って、使用する交換目的は USR 外部データ転送を設定します。
また入庫分納(横の分納)への対応として、発注タイプマスターの発注残入庫予定自動作成区分を「発注残全数の入庫予定を自動作成する」にすると、発注残数量についてもスムーズに倉庫システムに送信することができるのでおススメです。
出荷指図及び出庫実績
出荷業務は、本社営業部側が得意先との納期調整を経て出荷指図を倉庫に送信します。
出荷指図という用語に表れているように、入庫予定と異なり、一本一本の出荷指図に本社営業部の明確な指示が込められていますので、出荷指図が不用意にデータ変更されないように、確実にロック(固定)し、送信ログ情報を付けます。
また、順流の指図送信⇔実績取込のフローだけでなく、出荷指図をやり直ししたいとき、指図送信直後ならこうする、倉庫内で梱包まで進んでいたら別フローを起動する等、処理段階毎の逆流フローを検討しておくと、いざ例外が発生したときに対応することができます。
受注伝票の中にルート移動機能を持たせて運用したい場合、そのルート移動部分については受注伝票から発生しているとは言え、倉庫側は在庫移動業務と捉えますので、データ連携としては出荷指図としてではなく、次の移動指図に含めて連携します。
移動指図及び移動実績
物流拠点が複数あって拠点間を移動する場合や、得意先に預託在庫を置いている場合などで在庫が倉庫間移動します。倉庫間移動では、移動中のステータスについても在庫管理するかどうか検討します。
管理する場合は、移送中というシステム上だけの架空倉庫を登録し、その移送中倉庫を経由して移動先倉庫に移動していきます。移動元倉庫から移送中倉庫で一本、移送中倉庫から移動先倉庫へもう一本と計二本の入出庫伝票を入出庫依頼から登録します。
ルート移動機能を使えば、この二本を入出庫依頼一枚で登録することができて効率的です。 なお少し話は逸れますが、倉庫システムは基本的には倉庫内在庫を管理するため、移送中は管理対象外となるようです。移動元倉庫から移送中倉庫の入出庫伝票を「移動元倉庫の出庫」、移送中倉庫から移動先倉庫への入出庫伝票を「移動先倉庫への入庫」の処理と捉える辺り、基幹システムとは異なる考え方が興味深いです。
在庫を廃棄する処理がありますが、移動処理の変化形で対応することができます。入出庫タイプを倉庫間移動と分けて廃棄専用のタイプを作り、倉庫間移動とは別に、ファシリティを廃棄ファシリティへ移動させます。
変更指図及び変更実績
特定販売ルートで仕入した在庫は、部門在庫として全社共有在庫とは分けます。例えば部門単位で在庫管理するときには在庫プロジェクトの考え方を用いますが、部門間で極端に在庫量が偏らないように、在庫を融通し合い調整します。Plaza-i上、プロジェクトコードは在庫識別番号と結び付いていますので、在庫識別番号を移動元部門から移動先部門へ振替える形で処理します。
この処理は在庫取引伝票が適切です。振替入庫と振替出庫を2行セットで登録し、セット在庫取引番号で結び付けます。在庫取引伝票は入出庫受払いの実績を管理するため、指図送信⇔実績取込方式のデータベースではありません。
しかし例えば、指図用の在庫取引伝票は数量欄を意図的に空欄とし、「指図数」意味合いの在庫取引ユーザ定義を1つ設け、これを指図用として倉庫システムへ送信。同じデータレイアウトの実績を倉庫システムから Plaza-i へ実績返ししてもらい、DRS在庫取引外部データ取込機能を使って、実績返しの数量を在庫取引数量項目に取込みする。こうすれば、簡易的な指図送信⇔実績取込方式を作ることができます。
売上返品指図及び返品実績
一旦出荷実績まで完了した後、倉庫への在庫戻しは売上返品指示伝票を使います。従って、入出庫伝票を利用した連携を作ることができます。
売上返品においては、倉庫内で再販可能な棚へ戻す戻さないを判断する検品処理があります。これをPlaza-i及び倉庫システムで表現すべく、仮置倉庫を設け、売上返品指図では一旦そこに入庫させます。
その後、上記移動指図を使い、通常の(販売可能)倉庫に移動させる形を取ります。倉庫を移動させるのではなくPlaza-i ファシリティの移動を利用する方法も考えられますが、その場合、倉庫システム側にも同じ概念が必要となります。
仕入返品指図
仕入返品は仕入伝票を使います。仕入伝票は仕入実績テーブルのため、指図送信⇔実績取込方式のデータベースではありません。Plaza-iからの送信のみの一方通行連携となります。ここについては現状、倉庫システムベンダーと個別相談して仕組み作りを検討します。今後のPlaza-i拡張性に期待される部分となります。
おわりに
ここで述べてきた運用については、運用を開始する前に十分な時間を取って、弊社コンサルタントによる基本設計、導入サポートを行う必要があります。
より詳細についてお聞きになりたい方は、お問い合わせください。
まとめ
・自社在庫を倉庫などに保管し、倉庫側をWMS などの別の倉庫システムを使っている場合のPlaza-i運用事例のポイント。
・基本的にPlaza-i ジョブスケジュール機能を用い、送受信し忘れデータが発生しない運用設計にします。
・入荷業務は仕入先が起点となるため、常に更新し続ける発注残としての入庫予定を倉庫システムに毎日連携し、実際の商品入庫に備えておきます。
・出荷業務は、一本一本の出荷指図に本社営業部の明確な指示が込められているため、出荷指図が不用意にデータ変更されないよう確実にロック、送信ログ情報を付けます。
・複数の物流拠点間を移動する場合など、在庫の倉庫間移動では、移動中のステータスについても在庫管理するかどうか検討します。
・特定販売ルートで仕入した在庫は部門在庫として全社共有在庫とは分けます。