Plaza-i は、V2.00.30 のバージョンで「Plaza-i スキーマバージョンアップ」メニューをリリースし、以降、お客様自身でバージョンアップ作業を行えるよう、機能の充実と改良を進めてきました。
2015年以降は、弊社によるバージョンアップ作業は原則として有償となり、現在では多くのお客様がご自身でバージョンアップ作業を実施されていると考えられます。
ユーザが定期的にPlaza-iをバージョンアップする意義
弊社では年1回程度の頻度でバージョンアップ作業を行うことを推奨しています。ただ、バージョンアップには事前のテスト環境での新バージョンの受入テストが必要なことや本番環境のバージョンアップ当日にはPlaza-iの利用制限が掛かるなど、追加で労力を伴うことは事実です。
運用が安定しており、追加のカスタマイズ等も必要ない場合、「今安定しているのだからこのままのバージョンでいいじゃないか」という心情になるのは理解できます。 利用機能が複雑かつ多岐にわたる場合や、ユーザ数が多い場合は、ソフトウェアの変更による影響も大きいですが、追加カスタマイズの要求等も多く、毎年とはいかないまでも定期的にバージョンアップ作業を行っているケースが多く見られます。
一方で、そうした必要性がない場合、長期間同じバージョンを使用し続ける事例も散見されます。古いバージョンをご利用のお客様を調査したところ、スタンドアロンや5ユーザ前後の規模のお客様が多い傾向にありました。 そこで今回は、主にスタンドアロンや少人数規模のお客様向けに、定期的なバージョンアップによって得られるメリットと、バージョンアップを行わなかった場合に生じ得るデメリットをそれぞれご紹介します。
メリット:機能追加、改善の恩恵を定期的に
Plaza-i はワンソースのパッケージであり、他のお客様向けに追加された機能や汎用的な新機能、改善された機能は、すべてのお客様が利用可能です。たとえば「入力中の項目を強調表示する機能」や「照会画面のグリッドでの値検索・フィルター機能」など、汎用性の高い機能は多くのお客様にとって操作性や快適性の向上につながります。 定期的にバージョンアップを行うことで、これらの新機能を活用していただくことが可能になります。
デメリット:ハード交換時にバージョンアップが強制されてしまう場合がある
バージョンアップを定期的に行なっていなかった場合に発生しうるデメリットをみていきます。
Plaza-i は、Windows OS 上で Oracle Database を利用して動作するシステムです。OSやデータベースも新バージョンがリリースされるため、特に OS が新しくなった場合、古いOracle Database がサポート対象外となることがあります。
Plaza-i も新しいOSやデータベースに対応するためにプログラムの変更が必要となる場合があり、結果として古いバージョンの Plaza-i は新しい環境では動作しなくなることがあります。 また、Windows OSやOracle Database にはサポート期限があり、期限を過ぎるとセキュリティ強化や不具合修正などのアップデートが提供されなくなります。そのため、定期的にサーバやPCの入れ替えが必要になります。
AWSやAzure等のクラウド環境でPlaza-iを利用している場合は当てはまりませんが、自社で管理しているハードが利用不可能なレベルで故障した場合には、強制的にサーバやPCを買い替える必要に迫られます。その時、Plaza-iが新しい OS に対応していないバージョンの場合、新しいサーバにインストールされるPlaza-iは少なくともその新OSに対応しているバージョンとなり、強制的にバージョンアップを行わなければなりません。
この場合、旧環境が故障しているためお客様はPlaza-i を操作できず、バージョンアップ作業は弊社が対応することとなり、その分の費用が発生します。 料金以上に危険なのが、受入テストを行っていない状態でいきなりバージョンアップを行わざるを得ないという点です。
新しい環境を提供した後に、まずテストバージョンで受入テストを行わなければならず、確認が取れるまでは本番環境の運用がストップします。
そこで回避不可能な不具合が発見された場合、その不具合の修正、リリースを待たなければなりません。こうなると複数営業日にわたってPlaza-i を利用した業務を止めざるを得ません。
筆者は開発部門の人間であり、導入やサポートをメインに行っているわけではありませんが、担当したお客様の中でハードの故障が発覚し、急遽交換せざるを得なくなったケースを複数例経験しています。その中でPlaza-iのバージョンが古かったために弊社側でバージョンアップ作業を行わざるを得なかったケースも少なからずありました。幸い、上記のような不具合は発生しませんでしたが、結果的に問題がなかっただけであり、非常にリスクの高い状況だったと認識しています。
まとめ
バージョンアップ作業を行うメリットはもちろんありますが、反対にバージョンアップ作業を行わなかった場合に生じ得るデメリットの方が非常に大きいと考えられます。このデメリットの回避は、定期的にバージョンアップ作業を行う意義となり得るのではないかと考えています。
バージョンアップは、ERPの導入を検討される企業の皆さまにとっても、導入を考える際の大きな評価ポイントとなると思います。Plaza-iでは法改正に対応する等の大きな改善はもちろん、定期的に新たな機能をリリースすることで、お客様の操作性や快適性の改善や効率アップに努めています。