2024.04.15

SE日記 Vol.6 【(1回のデモで)おたくに決めます!】

第6回のテーマは『(1回のデモで)おたくに決めます!』です。

初回のお打合せでいきなり社長が参加

今回ご紹介するお話は、香水の輸入卸をやっているお客様でのお話です。
そのお客様は、海外からの香水の輸入販売、オリジナルブランドの企画・開発等を手掛けており、従業員数は数10名ですが、平均年齢も若く、かつ女性が多くて活気のある会社でした。

当社の営業がどのようなルートで商談を得たかは忘れてしまいましたが、お客様サイドでは、基幹系のシステムが未導入で、それも急がれているご様子。

輸入業務が会社の根幹ですので、そこのサポートがしっかりしているシステム、ベンダーを探しておられました。

最初、お客様訪問の日程を調整していたのですが、お客様からは「すぐにでもデモを見たい、御社の方に行ってもよい」ということで、急遽、最短での日程をご相談し、弊社に来ていただくことになりました。

年末の、慌ただしくなりつつある時期でした。事前に営業から聞いてはいましたが、初回の顔合わせからいきなり、お客様サイドは、社長、取締役の方をはじめ、6人ほどが来社。
弊社のデモルームを使って、製品紹介プレゼン、製品デモ、打合せを行いました。

デモの際は、輸入業務を中心に説明しましたが、当時の私は、多少の経験を積んできていて、
輸入の専門用語を駆使して、淀みなくデモができるようになっていたので、弊社のシステムの特長、輸入業務にどう活かせるか、をお客様目線で説明できていたと思います。

社長は見た感じ40歳代ほどでテキパキした印象の方。それに、おそらくシステム導入の直接の責任者になると思われる取締役の方とその部下と思しき30歳前後ほどの女性。
主に、このお三方、特に取締役とその部下の女性が多く質問をされてきました。それらの質問にも、テキパキと即答し、打合せは非常に順調でした。

休憩時間に、いきなり口頭内示!

2時間ほど経ったでしょうか、一度、休憩を入れましょう、ということで、デモルームの中にあるリフレッシュコーナーに行き、お客様と一緒にコーヒー等の飲み物を飲んでいた時に
社長から「このシステムは、導入にいくらほどかかるのですか?」との質問。

この時、なぜか、(これは正直に話した方がよさそうだな!)と直感したのを覚えています。
横に当社の担当営業がいましたが、同席している状況なので、私から説明しても問題はないだろう、
何かあれば営業から補足説明があるはずだ、と思い

「御社の場合、ユーザー数がこれくらいと見て、特に、カスタマイズ等の追加費用がなければ、〇〇M¥~〇〇M¥ほどになると思います。さらに費用を抑えるためには、フィットアンドギャップを行わず、このシステムをそのまま標準導入すれば可能ですが、御社の場合、やはりすり合わせが必要なようですので、それは難しいと思われます。
したがって、やはり、〇〇M¥~〇〇M¥プラスαといったところになるのではないでしょうか。」
と、かなり具体的な金額とそのための条件を回答。

社長は、しばらく考え込んだ後、おもむろに
「このシステムにしましょう!〇〇さん(取締役のお名前)、その前提で進めてください。」
と、鶴の一声が!
私は思わず、当社営業の顔を見て、ポカーン。
(こういうことって、あるんだ!たった1回の説明で口頭内示をいただけるなんて!)

休憩明けの説明で何をしゃべったかは、もう覚えていません。
ただ、社長から口頭内示をいただいたその場面は、今でも鮮明に記憶にあります。実際の導入プロジェクトは、弊社の別のSEが担当し、やはり、多少のカスタマイズ要件も発生しましたが、追加費用の発生に関してその都度説明し、なんとかお客様の許容範囲内に抑えることができました。

大企業だとこうはいかなかったと思います。この規模感のお客様の決断スピードの速さと、ものごとを前に進める力の強さを実感。
その後の、プレ活動にも大きな影響を与えた事例となりました。

ERP導入において重要なこと

ケースにもよりますが、システム導入を急いでいるお客様の場合、できるだけ早いタイミングで、経営トップをはじめとするシステム導入の決定権者にご参加いただいて、製品紹介プレゼン、製品デモ等を行い、信頼を勝ち得ることが、非常に重要です。

その際、費用感も要らぬ脚色をすることなく、正直に申し上げることで、ダメならダメでけっこう!という姿勢を見せることが、スピーディーさを求めるお客様にはフィットするかもしれません。

※本ケースは筆者の経験談であり、すべてのお客様に当てはまるものではございません。予めご了承ください。

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