2023.12.04

SE日記 Vol.4 【社内の議論は、外(ほか)でやってください!】

SE日記

第4回のテーマは『社内の議論は、外(ほか)でやってください!』です。

毎回の打合せに、多くの部署の方が参加

今度は、こちらからお客様に苦言を呈したお話です。

今回のお客様は、ドライアイスの卸売りを行っている会社です。ドライアイスはご存じの通り、放っておくと分単位でどんどん目減りしていくもので、在庫管理が非常に難しい商材です。目減りした分はロス評価するのですが、そのロス分の入力方式や在庫評価方法に関して、取り決めなければならないことが色々ありました。

関係部署が多かったこともあり、フィット&ギャップの打合せでは大勢の方が参加されました。全体で70~80名ほどの規模のお客様でしたが、非常に重要なプロジェクトだとの認識をされていたためでしょうか、社長も自ら打合せに出席されていました。

それ以外には、PMの電算チームリーダーを筆頭に、営業部門、営業事務部門、電算部門、支社・支店、さらに、コーポレート部門管掌の役員も、参加されていました。

毎回の打合せに10名~12名ほどが参加されます。こちらは、たまに参加する担当営業と私で、多くても2名。どちらもまだ30歳代前半の、若手といった方がいいくらいの年齢です。

毎回の打合せでは、当時、出席者へ配る資料を人数分コピーして用意していったので、これだけの人数分となると、相当なボリュームです。
週2回の打合せでは、毎回それを持参し、一つ一つ丁寧に説明していきました。

社内の部署批判、応酬が頻発

当然、これだけの部門の方が参加されると、色々なタイプの方がおられ、いつもネガティブな意見を言われる方がいました。部門間で利害が対立する話も出てくるわけで、そういった話題になると、なかなか意見がまとまりません。

たまに、私の方から、「xx部門では、こういった問題が起きていませんか?」と振ると、
「そうなんだよ!それで、いつも困っているんだよ!」と。そこからお互いの部署批判が始まります。

内心、(しまった!火に油を注いでしまった!)と思いましたが、そうなると、しばらくは、その話で、部署間のやりあいが続き、フィット&ギャップの打合せが中断することが、ままありました。毎回参加されている社長は、できるだけ多くの意見を聞いてから裁断を下すタイプのようで、我慢強く、そういった社内の議論の応酬も聞いておられました。

しかし、スケジュールにもじわじわ遅れが出てきます。度重なる、社内議論の応酬に辟易してきた私は、とうとう

「社内の議論は、外(ほか)でやってください!」

と発言。「今、この場は、御社と弊社で、次期システムの運用を取り決めする打合せをしている場所です。社内の議論をするのなら、私は、帰ります。意見がまとまったら、連絡ください。」と荷物をまとめはじめました。

すると、社長があわてて、
「いや、確かにあなたの言うとおりだ。この場でこういった議論をするべきではない。
その話題は別途、社内で検討することとして、今日予定していた協議を進めさせてください。
皆さん、それでいいですね!」
と言われました。

私も、「わかりました。それでは、続きをやらせていただきます。」と打合せを再開。
それ以降は、打合せの空気が変わったことを覚えています。

おそらく、その場に社長がおられなかったら、私もこのような発言はなかなかできなかったかもしれません。あの社長なら、私の真意を汲んでくれて議論の方向を軌道修正してくれるだろう、と漠然と考えていたように思えます。

その後一気にプロジェクトは進み・・・

後日、工程に若干遅れは出たもののプロジェクトが無事に立ち上がって本稼働が始まった後、
お客様とお疲れ様会を開いたのですが、PMの方からは
「いやあ、あの時は、一瞬、なに若造が生意気なことを言ってるんだ!と思ったよ。だけど、言ってくれてありがとう!マジ、助かった!」
とのお言葉をいただきました。

30歳代そこそこの若造が、40代・50代のベテラン社員の方々を前に啖呵を切ったのですから、
そう思われてもしかたありません。ただ、同じ方向を向いている限り、発言に遠慮はいらない、言うべきことは言うべき時に言わなければならない、といったことを痛感した出来事でした。

ERP導入において重要なこと

・フィット&ギャップで多くの部署の方が参加されるときは、要注意!
ついつい議論が白熱してあらぬ方向に行くことがあるので、都度、軌道修正する工夫が必要。

・お客様の中にも色々なタイプの方がおられます。できるだけ、こちらの意を汲んでくれる方を早く見つけ、常に目標を見失わずに、その方と連携していくことをお勧めします。

ERP導入において最も大切なことは、常に目的を共有し、一体感を醸し出すこと。そのためには、言いにくいこともあえて苦言を呈して、お客様の懐に飛び込み、距離を詰めていくことが重要だと思います。

次回は、vol.5:「2か月での立ち上げは可能。ただし、我々についてきてください!」をお届けします。

※本ケースは筆者の経験談であり、すべてのお客様に当てはまるものではございません。予めご了承ください。

【筆者略歴】
某大手メーカー系IT企業に35年勤務。
経営企画部門を経て、ERPパッケージの導入担当SE、及びプレ営業を15年ほど経験。その後、同パッケージの拡販推進、マーケティング、プロモーション等を担当。現在は(株)ビジネス・アソシエイツにてマーケティング業務に従事。

 

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